そもそもフッ素って?
むし歯予防のためにフッ素を塗るという話をよく聞きます。この“フッ素”とはどのようなものなのでしょうか?
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ミネラルの一種
フッ素はミネラルの一種です。 フッ素は地球上に広く存在している自然のものです。人体中(特に歯や骨に多い)はもちろん 地殻・海水・河川・植物・動物など、あらゆるものに必ず含まれています。
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食品などにも含まれている物質
フッ素というのは、普段口にしている食品にも含まれています。具体的には、お茶やみそ汁、清涼飲料水などにも含まれています。ですから、歯科治療でのみ使用する特別な物質ではないのです。
フッ素って安全なものなの?
フッ素は、自然界に多く含まれておりますが、大量に摂取すると中毒症状を起こすことがあります。中毒は急性中毒と慢性中毒に分かれます。急性中毒になりえる量としては、歯磨き粉の場合、体重20㎏のお子さまがチューブを1本一気飲みしても足りないくらいで、フッ素洗口液の場合、同じく体重20㎏のお子さまが既定の量(約10ml)を10杯一気飲みしても足りないくらいです。とはいっても、体重の軽いまだ小さなお子さまが誤って歯磨き粉を1本食べてしまったら大変です。小さなこどもの手の届かないところに置くようにしましょう。フッ化物製剤などを一気に大量に飲まなければ急性中毒にはなかなかならないですが、万が一大量に摂取した場合は応急的に牛乳を多く飲んで対処し、早めに病院に相談しましょう。
また、高濃度のフッ素が入った水を長年にわたり飲むことで慢性中毒になることがありますが、意図的に飲み続けなければ問題ないかと思います。幼稚園や学校で行っているフッ素洗口は吐き出しますし、口に残ったフッ素の量は微量で、緑茶1杯に含まれるフッ素の量とほとんど変わりありません。ただし、年齢に合わせた歯磨き粉のフッ素濃度や使用量を守らないと、慢性中毒になりかねませんので、ご注意ください。
フッ素に限らず、なんでも摂りすぎると健康を損なうものになりえますね。
フッ素の効果
1、歯の質を強化し、歯を溶けにくくする
歯は「ハイドロキシアパタイト」と呼ばれる物質で構成されています。この物質はとても硬いのですが、酸によって溶けやすい性質も併せ持っています。フッ素のよって歯の再石灰化が促進されると、「フルオロアパタイト」と呼ばれるフッ素が入り込んだ物質へと作り変えられ、むし歯菌に負けない強い歯を作ることが可能となります。
2、唾液中に含まれるミネラルの沈着を促進し、再石灰化を助ける
食事をするとむし歯菌が出す酸によって歯に含まれるミネラルが溶けだす、「脱灰(だっかい)」という現象が起きます。しかし、通常、唾液が働いて溶けだしたミネラル成分を元に戻します。この働きを「再石灰化(さいせっかいか)」といいます。この歯の再石灰化を助けるのがフッ素です。唾液中にフッ素イオンが存在していると溶けだしたカルシウムがより多くエナメル質に再吸収されます。フッ素は再石灰化を促進し、歯の修復を促します。これにより、初期のむし歯を修復して、健康な歯を保ってくれます。
3、酸の生成を抑える
フッ素がプラークに取り込まれると、むし歯菌の働きを弱めて、酸の産生を抑制します。
生えたての乳歯や永久歯は、歯の質がまだ弱く、むし歯になりやすい状態にあります。フッ素を塗るとむし歯予防効果を大きく期待できるとされています。
また、大人の場合、加齢変化や歯周病により、顎の骨や歯茎が痩せてしまい 本来なら歯ぐきで覆われているはずの歯のセメント質や象牙質と呼ばれる弱い部分が歯ぐきから露出してくることがあります。 セメント質や象牙質は歯の中でも一番硬いエナメル質よりも弱くむし歯になりやすいため 歯ぐきから露出してしまった場合には、フッ素を塗ることでむし歯のリスクを下げることに役立つとされています。
新潟市西区寺尾台 かとう歯科